消える傷跡と残る傷跡-何が違う?原因と治療法

[最終更新日]2016/10/21

傷跡 残る 原因

皮膚に切り傷や擦り傷ができてしまう事は、ほとんどの人に経験があるかと思います。その傷跡が残ってしまってコンプレックスを感じた事がある人も中にはいると思いますが、この傷跡が残る場合と消える場合の違いをご存知ですか。

今回はそんな傷跡の残る場合と消える場合の違いをご説明いたします。

傷跡が残る原因

傷が残る原因は皮膚の構造とターンオーバーのメカニズムが関係しています。

傷跡 残る 原因

まず皮膚の構造ですが、これは3層に分かれているのをご存知ですか。1番外側の皮膚から表皮、真皮、皮下組織と3つに分かれているのです。切り傷や擦り傷で跡が残ってしまうのは、この真皮以下の深い位置まで傷が到達した時なのです。表皮までの傷なら綺麗に跡が残らないように治るのですが、なぜ表皮と真皮以下でこの違いが生まれるのかというとターンオーバーが関係しているのです。

ターンオーバーというのは生え変わりという意味です。実は皮膚の1番外側にある表皮は数日から数週間で頻繁に生え変わっているのです。なので傷を作ったとしても新しい皮膚に生まれ変わるため傷跡が残らないのです。傷の治り方としては再生という形を取っている事になります。

これに対して真皮以下まで到達した場合にはこのターンオーバーがほとんど行われない、1回にかかる時間が年単位とかなり長いため、後に残ってしまうのです。傷の治り方としては、こちらは修復という形をとっている事になります。

この様に傷跡が残るか残らないかはその傷がどの程度深いかによって変わってくるのです。やけどの場合はこの傷の深さで水ぶくれが起こるかどうかの違いも生まれますので、傷ができた時にその傷の深さというのは結構重要な要素になるのです。

傷修復の4つのプロセス

そもそも傷を負った時にどのようにして傷を修復しているかそのメカニズムはご存知ですか。これには大きく4つのプロセスが存在しています。

傷跡 残る 原因

まず1つ目は出血凝固期と言って、簡単な話出血を止めるための活動です。傷を負えば血管も破けて出血する事が多々あると思いますが、もしもその傷からダラダラと血が出続けてしまっては、血液不足で当然命に関わってしまいます。そういった事が無いようにまずは止血をしているのです。内部的には血液中の血小板を傷口に集めて血液を固めていきます。かさぶたができるのはこの血小板の働きがあるからなんです。

2つ目は炎症期と言って、傷を負って死んだ細胞を体外へと排除する、もしくは傷口から入った細菌を除去する活動に移ります。止血で外部からの侵入を防いでから、既に体内へと侵入した悪い細菌を殲滅していくと、傷の修復は非常に合理的な手順を踏んでいるのです。人間の体の活動というのは非常に優秀ですよね。

3つ目は増殖期と言って、傷を負って失った細胞を新たに生み出す活動になります。肉芽組織という細胞が失われた細胞の代わりを果たして傷を塞いでいくのです。この時に一緒に毛細血管も作られます。これは血液中の酸素や栄養を使って傷を修復するためです。

そして4つ目は成熟期と言って、傷口を塞ぐために作られた細胞などで過剰に作った部分を吸収していく活動になります。この活動が1番長くおよそ6か月間使って少しずつ元の状態に戻していくそうです。

このように傷の修復には4つのプロセスがあり、どれも非常に重要な役割を持っていて、さらにこの順番が入れ替わったりしては意味がないのです。人間の体というのは本当によくできていますよね。

深い傷に発生した瘢痕は永久に残る?

傷跡は基本的に皮膚の真皮以下にまで傷が到達した時に残ると説明しました。では実際にその傷が永久に残るのかと言われると、ほぼ永久的に残るとされています。

最初に傷の治り方の説明として表皮は再生、真皮以下は修復という話をしましたよね。正に傷跡が残ってしまうのはこの治し方が関係していて、真皮以下の傷はあくまでも修復であるから、元通りになる事はないのです。

ただし注意があって、最近は傷跡を除去する手術も多くなっていて、特にレーザー治療は傷跡をキレイに消せる、手術跡もないという事で注目されています。深い傷ができた場合の跡は自然に治る事はありませんが、人為的に除去する事は決して不可能というわけではないので安心してください。

また表皮の傷の場合でも傷跡のような物が残る事は良くあります。例えば表皮に傷を負った後にその内部に砂などの異物が入り込み、その上から表皮が作られると、この異物はいつまでもその場に残り続ける事になります。

傷跡が残っている場合と異物が残っている場合とで状況は変わりますが、見た目によろしくない状況としては一致していますので、手術で取り除く事も1度検討してみてください。小さい跡だからわざわざ病院に行くのも面倒と言って、素人判断でその跡が残る部分を削り取ったりしないようにしてくださいね。

傷を治す「モイストヒーリング」

傷を治す際に最近注目されてきているのがモイストヒーリングです。湿潤療法、うるおい療法など言い方は多数存在しますがどれも同じ治療法を指します。

この治療法自体は昔からあって、今では創傷治療の基本と言われている治療法になっています。

モイストヒーリングには3つの大原則があります。それは傷口を乾かさない、水で綺麗に洗い流す、消毒しないの3つです。

傷口を乾かさないというのは、皮膚が死ぬのを防ぐためです。傷を負った部分はすでに死んでいますが、それに影響されて周りの皮膚まで死んでしまう可能性があるのです。それを防ぐためにも乾燥させない、保湿というのが重要になってきます。特に傷を負った後は修復するために体内から血漿と呼ばれる液体が出てきます。傷口から透明な液体が出てきているのを見た事はありませんか。あの液体は傷を治す為の栄養が多く含まれているので、拭き取ったりせずに傷口に染み渡らせるのが正しい治療法なのです。この血漿をキープするために水を通さないフィルム剤が非常に有効的になるのです。

水で綺麗に洗い流すというのは、人体に害のある細菌やウィルスを排除するためです。これをせずに例えば絆創膏などで傷口を覆ってしまうと、逆に細菌やウィルスの活動を手助けしてしまう事になります。傷ができた直後はとにかく水で洗い流す、そしてその後で傷口を塞ぐというのはほとんどの人が知っている治療の流れだと思いますが、しっかりと根拠があるのです。

最後に消毒しないというのは意外に思う方も多いかもしれませんが、モイストヒーリングとは基本的に人体の自己再生能力を利用した治療法なのです。消毒液を使うと傷口にダメージを与える可能性があるという事も危険視されていますし、消毒液で細菌を除去すると体の細菌に対する免疫力が低下する事もあるのでは言われています。消毒液を使うと、次にまた傷を負った時も消毒液が欠かせなくなってしまうという事です。

もちろん明らかに汚れている刃物など、細菌が傷口から侵入している可能性が高い時には消毒した方が良いので、判断に迷う時は近くの皮膚科や外科で治療を受けるようにしましょう。

最先端の創傷治療法とは?

最先端の創傷治療法として注目されているのが再生医療局所陰圧閉鎖療法です。

再生医療では再生の足掛かりとなる人工真皮を移植する事で修復を早める事ができるとされていて、さらにその修復の効果を高める成長因子製剤を合わせて行う治療法となっています。自然な修復ではどうしても追いつかない深い傷には非常に有効的であるとされています。

傷跡 残る 原因

局所陰圧閉鎖療法というのは傷口を物理的に吸引するという治療法で、細菌や老廃物を取り除くだけではなく、血漿などの浸出液の量を調節したり、血流を良くしたりといくつもの効果を期待できるとされています。

この様に医学は日々進歩しているので、簡単な切り傷や擦り傷がすぐに治るだけでなく、それこそ今では傷跡が残ってしまう深い傷もすぐに綺麗に治せるようになるかもしれません。

皮膚の傷跡は場合によって長く残る事もありますが、必ずしも消せないという事ではないので、悲観せず、そして気にし過ぎないようにして過ごしましょう。

まとめ

  • 傷が残る原因は皮膚の構造とターンオーバーのメカニズムが関係している。
  • 傷の修復には4つのプロセスがあり、どれも非常に重要な役割を持っている。
  • 最先端の創傷治療法として注目されているのが再生医療と局所陰圧閉鎖療法。

 

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