その愛くるしくも自由奔放なふるまいからペットとしても人気の高い猫ですが、猫に引っ掻き傷をつけられて発症する「猫引っ掻き病」をご存知でしょうか?
これによってできた傷跡は残りやすい特徴があるため、猫を飼っている人や猫好きな人は注意が必要です。
「猫引っ掻き病」って?
猫引っ掻き病はその名の通り猫に引っ掻かれたり噛まれたりすることで人間に発症する感染症であり、人間を引っ掻いたり噛んだりした猫の方には特別な症状はあらわれません。
猫の方に特別な症状があらわれないということは、外見からはその猫が原因となる菌を保有しているかは分かりません。
どんな状況で発生しやすい?
猫引っ掻き病の根本的な原因は「バルトネラ属菌」といわれる菌に感染することにあります。
このバルトネラ属菌というのは、猫に寄生する「ネコノミ」に存在しているケースが多いです。
猫に寄生したネコノミは、自分の糞便と一緒にバルトネラ属菌を猫の体に排泄します。
猫はよく自分の体を舌で舐めたり足で毛づくろいをするため、このバルトネラ属菌を口の中の歯や爪といった部分に知らず知らずのうちに付着、汚染させてしまっており、こういった猫に引っ掻かれたり噛まれることで、猫引っ掻き病が発生してしまうのです。
実際に日本に生息している猫の1割はバルトネラ属菌に感染しているといわれており、中でも子猫の保菌率は高くなっています。
そのため、子猫やノミやダニが付着している猫に触れる機会の多い人は、猫引っ掻き病を発症しやすいといえます。
あらわれる症状は?
猫に引っ掻かれたり噛まれたりしてバルトネラ属菌に感染すると、数日から2週間程度で傷の場所に虫刺されに似たふくらみがあらわれ、そこから水疱や化膿が発生することがあります。
さらに時間が経つと傷を負った場所のつけ根のリンパ節が腫れあがり、発熱や体のだるさがあらわれます。
免疫力が低下している状態だと、視力障害や肝機能障害といった重度な症状があらわれるケースも確認されています。
ただの引っかき傷なら水道水で洗い流す、けれど…
近年、傷の手当の新常識として「湿潤療法」が認知されてきています。
従来は傷の手当てをする場合、患部を消毒することが大切だとされてきました。
しかし、この方法だと傷口の悪い菌と同時に傷口を治すための細胞にまで悪影響を与えてしまい、傷口の治りを妨げることが分かったのです。
そのため湿潤療法では、従来のように傷口を消毒せず水道水で洗浄したあと患部を保護します。
実際にこの湿潤療法を行なうと、従来の手当てよりも傷跡も残りにくく治りも早くなることが確認されています。
そのため単なる引っ掻き傷が出来ただけであれば、湿潤療法の手順に沿って水道水で洗い流市患部を保護すればいいのです。
しかし、猫に引っ掻き傷をつけられてしまった場合は話は別です。
なぜなら今回紹介したように爪や歯に菌が付着している猫に引っ掻き傷をつけられた場合は、傷口から菌に感染してしまう恐れがあるからです。
そのため水道水で洗い流すだけでなく、しっかりと従来のように消毒をして猫引っ掻き病に感染しないように注意しなければいけません。
基本的な引っ掻き傷であれば湿潤療法を使えるため、傷を早く治せる分傷跡も残りづらくなります。
しかし猫に引っ掻かれた場合は、消毒が最優先になるためその分湿潤療法を使うよりは傷の治りが遅く、傷跡が残りやすくなる可能性もあります。
また基本的に傷が深くなればなるほど、傷跡は残りやすくなります。
これは猫の引っ掻き傷にもいえることであり、爪や歯が深く食い込んでしまえば傷跡も残りやすくなるのです。
可愛らしい姿をしていても猫はあくまで動物です。
そのため自分自身が身の危険を感じれば、自分の身を守るために人間に攻撃をしかけ深い傷を負わせようとするのは、珍しいことではありません。
猫の引っかき傷が傷跡として残らないために
猫の引っ掻き傷に対して水で洗い流すだけの湿潤療法は利用できません。
しかし、一般的な湿潤療法に消毒の工程を加えることで、傷口に入った菌を消毒しつつ傷口の治りを多少早めることはできます。
具体的な方法を紹介します。
1.水道水で傷口をしっかりと洗い流す
猫に引っ掻き傷をつけられたら、まずは水道水でしっかりと傷口を洗い流しましょう。
病院で処置をしてもらう場合は生理食塩水を使うこともありますが、家で処置をする場合は水道水で問題ありません。
大切なのは水道水をチョロチョロあてずに、傷にしみても強い水圧でしっかりと洗い流すことです。
2.傷口をしっかりと消毒する
湿潤療法ではこの消毒の過程は本来行いませんが、猫に引っ掻かれた場合は菌への感染を防ぐため傷口の消毒の工程は外せません。
ただし傷口に消毒液が残ったまま3の工程に進んでしまうと、消毒液が必要以上に傷を治す細胞に悪影響を与えてしまいます。
そのため傷口の消毒が終わったら、消毒液を水道水で洗い流して水気をふき取るようにしましょう。
3.湿潤療法用の絆創膏を貼る
湿潤療法が認知されるようになった現在は、湿潤療法用の絆創膏が多く販売されています。
これらの絆創膏は通常のものより値段は高いですが、そのぶん傷の治りも早いため傷跡を残したくないのであれば利用する価値は十分あります。
湿潤療法用の絆創膏としては、次のような商品があります。
- バンドエイドキズパワーパッド
- プラスモイストP
- ケアリーブ治す力
- デルガードクイックパッド
4.2~3日程度で張り替える
基本的に湿潤療法用の絆創膏では数日間貼り続けることが推奨されています。
しかし傷の場所が関節付近にあるとどうしても曲げ伸ばしをするときに肌と絆創膏の間に隙間ができ雑菌が侵入する可能性が高くなります。
そういった場合は臨機応変に短い間隔で絆創膏を張り替えるようにしたほうがいいでしょう。
引っかき傷の傷跡が気になる人は形成外科へ
引っ掻き傷を猫ではなく人につけられた場合は、感染症の可能性はぐっと低くなるため一般的な湿潤療法を家庭で行なうだけでも十分なケースが多いです。
また猫に引っ掻き傷をつけられてしまった場合は、先ほど紹介した方法で対処すればいつものように絆創膏を貼って治すよりも、感染症のリスクを減らしつつ、傷の治りを早められます。
しかし消毒をすることで必ずしも感染を防げるとは言い切れませんし、爪や歯が深く食い込みその分傷も深くなれば傷跡も残りやすくなります。
そのため猫に引っ掻き傷をつけられて感染症や傷跡が残りそう、傷跡がなかなか消えないといった心配がある場合は、早めに整形外科の受診をおすすめします。
傷ができてしまったら、特に女性の場合は傷跡を残したくないと考えるものです。
この願いを最も叶えてくれるのは形成外科やクリニックだといえます。
形成外科とは目に見える身体のかたちの異常を治療する部門であり、傷を「きれいに治す」こと、そして残った傷跡に対する治療のスペシャリストといえます。
そういった意味では、猫に引っ掻かれて傷跡が気になってしまう場合は形成外科を受診するのが一番良いのですが、残念ながら形成外科の数は全国的に見ても少ないため近場に形成外科がない場合も珍しくありません。
そのためもちろん形成外科があるならば形成外科を受診することが望ましいですが、難しい場合は整形外科を受診するといいでしょう。
また、無料のカウンセリングを行っているクリニックも多数あります。
その中でも中央クリニックは、優秀なドクターが親身なって相談に乗ってくれます。
興味のある方は、ぜひ一度相談してみてください。
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まとめ
- 日本に生息している猫の1割はバルトネラ属菌に感染しているといわれており、中でも子猫の保菌率は高くなっている。
- 猫に引っ掻かれたり噛まれたりしてバルトネラ属菌に感染すると、数日から2週間程度で傷の場所に虫刺されに似たふくらみがあらわれ、そこから水疱や化膿が発生することがある。
- 猫の引っ掻き傷に対して水で洗い流すだけの湿潤療法は利用できない。
- 猫に引っ掻かれて傷跡が気になってしまう場合は形成外科を受診するのが一番良い。