刺青除去治療の方法はさまざまあり、傷跡の残り方もどの治療方法を選ぶかによって異なります。
今回は、刺青除去方法の種類と、それによる痛みや跡などについてお話ししたいと思います。
レーザー治療
タトゥーはレーザー治療で簡単に消すことができる…このようにお考えの方は多いのではないかと思います。
確かに、タトゥーはレーザー治療で薄くすることはできますが、完全に元の状態に戻すことは難しいと考えることができます。それは、幾度となくレーザーを照射することにより、その部分の皮下組織が分厚くなり、レーザーが通過しにくくなってしまうからです。
そして、場合によっては治療を行った部分がまだらな状態となって残ってしまうこともあります。つまり、レーザー治療には限界があり、完全にタトゥーを消し去ることは難しいと考えておくべきであるということですね。
また、レーザー治療は高額な費用を必要とするだけではなく、治療時に大変な痛みを伴います。
そもそも、レーザーによるタトゥー除去とは、タトゥー部分に人工的に火傷を起こさせ、皮膚の再生力を利用して徐々に組織の再編成を待つという方法であるため、痛みを伴わないはずはありません。
レーザーでタトゥー除去をお考えの方は、費用や痛みの部分についてよく考えて、慎重に検討すべきでしょう。
また、大きなタトゥーの場合では、火傷の範囲が大きくなるというリスクがありますので、この部分にもきちんと目を向けて、慎重に検討しましょう。
切除手術
この方法は、タトゥー部分の皮膚をメスで切除して、端の部分の皮膚同士を縫い合わせて行う治療法であるため、範囲の広いタトゥー除去には不向きです。
たとえば、範囲の広いタトゥーを切除して、端の部分の皮膚同士を無理やり引き寄せて縫合したとしましょう。
この場合では、ひとまずタトゥー自体は綺麗になくなりますが、傷跡が大きく残ってしまう可能性が出てきます。
というのは、もともとは慣れている部分の皮膚を無理やり引き寄せて縫合しているわけですから、皮膚の面積が足りなくなり、傷口を中心に皮膚同士が反対方向へ引き合うという現象が起こり、それが原因となって傷口部分の傷跡が広がってしまうことが考えられるからです。
そしてその結果、縫合部分がケロイドとして残ることが考えられます。
タトゥーを消し去ることはできても、大きな傷口が残ってしまっては元も子もありません。
この方法は幅が狭いタトゥーや、全体的に小さなタトゥーの除去に向いている方法ですので、範囲の広いタトゥーを除去したいという方は、医師とよく相談して、別の方法での治療を考えましょう。
植皮(皮膚移植)手術
この方法は、体の一部の健康な皮膚をメスで切り取り、切除したタトゥー部分に移植するという方法で、タトゥーを除去する治療法の中でも、比較的リスクが高いと考えることができます。
まず、ひとつ目のリスクは、健康な皮膚をメスで切り取るわけですから、切り取った部分が大きなダメージを受けるという点。
ふたつ目のリスクは、移植手術が成功したとしても、その周囲の皮膚と肌質や色が異なる場合では、移植部分が浮き上がって見える、いわばパッチワークのような状態になることが予想されるという点です。
そして、最も大きなリスクは、切り取った皮膚が移植部分に生着しない可能性があるという点です。
切り取った皮膚そのものには血流がありませんので、移植部分で無事に生着し、血流ができてしまえば問題はありません。
ところが、万が一血流が作られなかった場合には、その部分の皮膚が壊死することになりますので、再度別の部分の皮膚を切り取って移植しなければならなくなります。すると、いつまでたっても傷跡が消えず、それどころか大きくなってしまう危険性も出てきます。
また、生着率を高めるための”メッシュ植皮”という方法もありますが、これもまた、目立った傷跡が残る可能性が否めません。
削皮手術
皮膚の移植とは異なり、タトゥー部分を削り取り、最終的に目立たなくさせる治療法で、一般的にはアブレーションと呼ばれています。
この治療法のメリットは、切除手術のように皮膚同士を無理やり引き寄せて縫合するということがなく、後々の引きつれによる傷口の拡大などのトラブルが起こりにくいという点にあります。
さらに、皮膚を移植する方法のように、皮膚の生着の問題も考える必要がないというメリットも持っています。ですが、この方法はメリットばかりではなく、デメリットもまた、持ち合わせています。
タトゥーを削るという部分だけを考えると、いかにもたやすく行える手術のように感じますよね?
ですが、この治療法は医師の熟練度やセンスが問われる方法であるため、一歩間違えると大きな傷跡を残してしまうことにもなり兼ねません。
たとえば、熟練度の低い医師がこの治療に当たった場合では、除去を行った部分の皮膚組織そのものが壊され、赤黒い傷跡が目立つ、ケロイドの傷跡が残るなど。
このような傷跡が残ってしまうと、将来的な皮膚がんのリスクが高まりますので、この治療法でのタトゥー除去をお考えの方は、何を置いてでも熟練した医師を探し出すところから始めるべきでしょう。
ピコレーザー
医療機関ではさまざまな種類のレーザーを取り扱っており、その中にピコレーザーという種類のレーザーがあります。
上記でご紹介した一般的なレーザー治療の場合では、治療に長時間を必要とし、さらに強い痛みを伴うというデメリットがあります。
また、タトゥーの大きさや称されている色によっては、一般的なレーザー治療では消すことができないものもあります。
では、ピコレーザーではどうなのでしょうか?
従来のレーザーの場合では、粒子が大きなレーザーしか破壊することができず、そのためうっすらと色が残ってしまうこともあります。
これに対してピコレーザーでは、細かい粒子にまで届き、最小限の痛みで短時間でタトゥーを薄くする効果に優れています。さらに、多色使いのタトゥーにも対応することができ、一般的なレーザー治療よりも安価に治療を行うことができます。傷跡が残りにくいというのも大きな特徴。
このように、メリットだらけのようなピコレーザーではありますが、やはりタトゥーの範囲などにより、数回の治療が必要となることも多く、また、タトゥーを完全に消すことができない場合もあります。
ピコレーザーでの治療をお望みの方は、カウンセリングの段階でこの部分についても詳しく説明を受けておくとよいでしよう。
なるべく傷跡を残さずにタトゥーを除去する方法とは?
まず、何を置いてでもタトゥー治療の名医を探さなくてはなりません。今回ご紹介してきたタトゥーを消す治療法はすべて、多かれ少なかれ傷跡が残りやすいというデメリットを持っています。
ですが、ピコレーザーであっても、医師の腕次第では失敗することが考えらますし、傷跡が残る可能性もあります。まずは、タトゥー治療の名医を探し出すこと、ここからはじめましょう。
名医に治療をお願いすることになったら、ご自身のライフスタイルなどについてもきちんと声明した上で、適切な治療法を見つけ出してもらうことが大切です。
実はこの部分が最も大切で、治療方法を誤ってしまうと、傷跡が残るだけではなく、傷跡が化膿したり、ケロイド状になってしまったりするトラブルに見舞われてしまうこともあります。
また、名医と呼ばれる医師による治療であっても、タトゥーの状態によっては完全に消すことができず、跡が残るリスクがあるということも頭に入れておく必要があります。
まとめ
- タトゥーはレーザー治療で薄くすることはできるが、完全に元の状態に戻すことは難しい。
- 切除手術や植皮手術、削皮手術は傷跡が大きく残ってしまう可能性が高い。
- まずは、タトゥー治療の名医を探し出すこと、ここからはじめましょう。