肥厚性瘢痕が自然治癒する可能性|有効とされる治療法も解説

傷ができたときに注意したいトラブルが肥厚性瘢痕です。肥厚性瘢痕とは、どのようなトラブルなのでしょうか。原因、特徴、ケロイドとの違いを解説します。

肥厚性瘢痕は特定の傷や共通の特徴を持つ人でできやすいとされています。具体的に、どのような傷や人でできやすいのでしょうか。これらについても説明します。

以上に加え、気になるのができてしまった肥厚性瘢痕の経過です。肥厚性瘢痕は自然治癒するのでしょうか。また、治療法はあるのでしょうか。

このページを見れば、肥厚性瘢痕の概要や注意したい傷・人、治療方法などがわかります。傷跡が気になる方などは参考にしてください。

肥厚性瘢痕は自然治癒するものなの?

では初めに、肥厚性瘢痕が自然治癒できるかどうかという話からしていきます。結論から言えば自然治癒します。しかしながらいくつかの注意点が存在します

まず1つは自然治癒の場合は時間がかかるという点です。適切な処置を行ったとしても数ヶ月はかかると言われていますので、自然治癒の場合はそれよりも長くかかる可能性が高いです。人によっては年単位になる事もあるそうです。

もう1つはそもそも肥厚性瘢痕ではない可能性があるという点です。肥厚性瘢痕とよく似ている症状にケロイドという物が存在します。こちらは厄介な事に基本的に自然治癒しないどころか、その範囲を拡大するという危険性を持ち合わせているのです。

1つ目はともかく、もう1つのケロイドの可能性がある事を考えれば肥厚性瘢痕を自然治癒に任せるというのはお勧めしません。この肥厚性瘢痕とケロイドの判別は非常に難しく、症状が悪化して範囲が広くならない限り分からないのです。肥厚性瘢痕と思われる傷跡を発見した時には早めに処置を行うようにしましょう。自然治癒でも治るからといって安心し過ぎないようにしましょう。

このような傷跡は肥厚性瘢痕かも?

さて次に、どんな傷跡が肥厚性瘢痕かご説明いたします。

まず肥厚性とは何かというと、これは皮膚が通常よりも肥大化した状態、隆起した状態を指します。そして瘢痕というのは切り傷や擦り傷、やけどなどの傷跡の総称です。つまり肥厚性瘢痕というのは肌が肥大化した状態の傷跡を指すわけです。

基本的に盛り上がった状態であり、かつその部分に傷を負った事が直近1ヶ月範囲内であれば肥厚性瘢痕と断定できます。この肥厚性瘢痕ができる時にはその傷跡周辺が赤くなる事が多いので、ぶつけたわけでもないのに肌が赤くなっている場合は肥厚性瘢痕の可能性があります。

傷跡が隆起している、赤くなっている、この2点が肥厚性瘢痕の特徴です。隆起すると言ってもぷっくりと丸くできもののように膨らむわけではありません。これは傷跡の形に添って膨らむようになっていますので、例えば切り傷を作った場合はその形に添って細長く浮き出てきます。形はその時の傷跡によって変わるという点にも注意しましょう。抑えるべきポイントは隆起していて赤くなっているかどうかです。

肥厚性瘢痕とケロイドの違い

さてここからは肥厚性瘢痕とよく似ているケロイドとの違いを説明していきます。すでにいくつか説明していますが改めてここで整理します。

まず違いとしてはそもそも症状が強いのがケロイドです。痛みやかゆみと言った点でも肥厚性瘢痕よりケロイドの方が強いですし、何より自然治癒では回復しません。そして回復しないどころか放置すればケロイドはその範囲を広げていくのです。この違いはしっかりと抑えておくべき違いです。

それからケロイドは傷がない、怪我をしていない場所でも自然に発生する可能性があるというのも特徴の1つです。肥厚性瘢痕はあくまでも傷跡から生じる症状に対して、ケロイドはそういった傷が無くとも発症する可能性があるのです。ただこれに関しては本人が気づかないほどに小さな傷を負っていた可能性もあるため、非常に判断がしづらい点でもあります。

肥厚性瘢痕とケロイドの違いとして1番はっきりしているのは自然治癒しない、拡大するという点だけです。症状はほぼ似ていますし、見た目の形状や状態ではまず区別できません。この2つは非常に似通っているので、肥厚性瘢痕の症状が見られた時はまず医師の方の診察を受けておくのが大事になってくるわけです。

肥厚性瘢痕の原因って?

続いて肥厚性瘢痕の原因についてご説明いたします。とは言っても実は、肥厚性瘢痕の原因は未だにはっきりと判明していないのです。そもそも肥厚性瘢痕は傷がすでに治って塞がっているのにも関わらず、まだ足りないと体が勘違いして皮下繊維細胞を過剰に作ってしまう事でできる症状なのです。つまり傷自体はちゃんと治っているのです。その後で人によっては肥厚性瘢痕として隆起してくる可能性があるというだけの話なのです。

そのため肥厚性瘢痕の原因には体質に問題があるのではと考えられていて、ケロイド体質という言葉もあります。肥厚性瘢痕とケロイドは非常に似通っていて、ケロイドの場合は再発性もあるので体質が肥厚性瘢痕の原因になるのではと推測されている事もあります。ただこれだけでは説明がつかない症例もあって、例えばケロイドが再発した事のある人でも、体の場所によっては肥厚性瘢痕ができない事もあるのです。ケロイドは前胸部や背部など上半身の体の中心部分と、耳に発症する事が多いのですが、逆に手足や頭や顔など、体のパーツとしては端にある部分では発症しない事が多いようです。

加えて黒人には多く白人には少なく、日本人はその中間くらいと人種による違いがあったり、また小学校高学年から思春期にかけて発症しやすいなどの年齢による違いも見つかっています。

この様に肥厚性瘢痕が発生する原因は非常に多くの状態、環境が関係しているので、何か1つの特定の原因によって起こる起こらないが決まる事はないというのが現状の答えとなっています。しかしこれらの発生しやすい条件に当てはまる場合には肥厚性瘢痕が発生する可能性が当然高くなるので、自分の傷がどこにあるのか、また自分の年齢や体質をよく調べておいて、肥厚性瘢痕ができても慌てず対処できるようにしましょう。

こんな傷は肥厚性瘢痕に注意

肥厚性瘢痕・ケロイドとも傷が生じた後に発生するので傷痕ということができます。傷痕には、成熟瘢痕・拘縮瘢痕と呼ばれるものもあります。

成熟瘢痕とは、傷痕で起きていた炎症が治まり白く平らになった状態です。拘縮瘢痕は、肥厚性瘢痕やケロイドを放置した結果、線維が蓄積して硬くなり引きつれを起こした状態です。

傷痕の変化には様々な要因が関わっていると考えられます。様々な要因のバランスで、肥厚性瘢痕やケロイドになることがあると考えられているのです。具体的に、どのような傷が肥厚性瘢痕になりやすいと考えられているのでしょうか。

深い傷

肥厚性瘢痕は、傷が深いと生じやすいと考えられています。具体的には、傷が真皮の深いところまで達すると生じやすいと考えられています。ちなみに、ケロイドは傷が真皮の浅いところまでしか達していなくても生じることがあります。そのため、BCG注射やニキビがきっかけとなりケロイドを発症することがあるのです。この点は、肥厚性瘢痕とケロイドの違いとして挙げられます。

関節周辺の傷

関節周辺の傷も肥厚性瘢痕につながりやすいと考えられています。動くたびに傷痕が引っ張られるからです。傷跡が引っ張られると炎症が起きます。炎症が続くと肥厚性瘢痕のリスクは高まります。よって、関節周辺の傷は肥厚性瘢痕につながりやすいと考えられているのです。

治るまで時間がかかる傷

傷の治りが遅いほど肥厚性瘢痕やケロイドのリスクは高まると考えられています。炎症が皮膚深くまで広がりやすくなるからです。例えば、浅い傷であっても、掻き続けて治りを遅くすると肥厚性瘢痕になることがあります。肥厚性瘢痕が心配な方は、出来るだけ傷を早く治すことが重要です。

こんな人は肥厚性瘢痕に注意

肥厚性瘢痕の発生に関わっているのは傷の深さや治りなどだけではありません。体質なども発生に関わっているとされています。どのような方が肥厚性瘢痕のリスクが高いと考えられるのでしょうか。

遺伝

肥厚性瘢痕やケロイドの発症に遺伝が関わっている可能性が指摘されています。特にケロイドはケロイドになりやすい体質が遺伝する可能性があると考えられています。家族が肥厚性瘢痕やケロイドに悩んでいる方は注意が必要かもしれません。

妊娠

肥厚性瘢痕あるいはケロイドは、妊娠しているとリスクが高まるとされています。女性ホルモンの分泌が増加することで毛細血管が増えるため、妊娠により血流が良くなるためなどと考えられています。

炎症

身体が強い炎症を起こしている場合も、肥厚性瘢痕やケロイドを発症するリスクは高くなります。普段であれば問題を起こさない傷であっても肥厚性瘢痕に発展する恐れがあります。身体が強い炎症を起こしているときは、傷痕の経過に注意が必要です。

肥厚性瘢痕の治療方法

それでは最後に肥厚性瘢痕の治療法をご紹介します。肥厚性瘢痕は自然治癒でも治るという話をしましたが、ケロイドの可能性を考えれば当然治療しておくべきですので、しっかりと覚えておきましょう。

圧迫・固定

基本的には外側から圧迫固定方法、圧迫療法が主流となっています。傷や傷痕を圧迫して血流を低下させれば、傷痕の増殖を抑えられると考えられているからです。また、傷痕と周囲の皮膚を固定することで、傷痕に加わる刺激を減らすこともできます。傷痕に加わる刺激は肥厚性瘢痕やケロイドのリスクなので、傷痕を周囲の皮膚ごと圧迫・固定する治療は有効といえます。圧迫と固定には、シリコンシートやサージカルテープ、包帯、サポーターなどが利用されています。

ステロイド

よく使われるのはステロイドテープです。ステロイドには炎症を抑える働きがあるので、傷痕の増殖のほか、赤みやかゆみなどを抑えられます。ステロイドテープ以外では、ステロイド軟膏を塗り薬として使用することもあります。これらを長期間使用することで、傷痕の盛り上がりを改善できる点が魅力です。ただし、使い方を誤ると皮膚にトラブルを起こすことがあるので、医師の指示に従い使用する必要があります。

塗り薬

ステロイドのほかにも塗り薬は活用されています。目的は、傷痕の炎症を抑えることです。軽い肥厚性瘢痕であれば、塗り薬で治る可能性があります。ケロイドは、塗り薬だけで治すことは難しいとされています。

飲み薬

少し意外かもしれませんが、肥厚性瘢痕やケロイドの治療には飲み薬も用いられています。具体的には、トラニラストと呼ばれる成分を含む飲み薬が用いられています。アレルギーを抑える飲み薬ですが、傷痕の赤みやかゆみ、増殖も抑えると考えられています。保険がきくので利用しやすい治療方法といえるかもしれません。

手術

肥厚性瘢痕の治療法は他にもいくつも有り、例えば隆起した部分を丸ごと切除する手術を行う事もありますが、こちらは新しく手術跡ができてしまうため、最悪その手術跡からまた肥厚性瘢痕ができる事もあるためあまりお勧めできません

手術が適応となるケースは、見える場所に目立つ肥厚性瘢痕ができているときや拘縮瘢痕を起こして日常生活に支障が生じている場合などです。リスクが大きいと考えられるので、安易に手術で取り除くことはしません。ただし、縫合方法や術後の治療を工夫することで、肥厚性瘢痕やケロイドを治せるようになってきています。気になる方は、実績が豊富な形成外科などで相談すると良いでしょう。最適な治療法を提案してくれるはずです。

また近年注目されているレーザー治療は効果が確かにある分、治療費も結構高くつくので自身の経済状況を確認しつつ治療するようにしましょう。

悩む場合は医師に相談を

この様に肥厚性瘢痕の治療方法は非常に多岐に渡りますが、基本的には最初に挙げた圧迫療法で大丈夫です。もしもこの治療法を行っているのに数ヶ月経っても収まらない、もしくは余計に赤みが広がっている場合にはケロイドの可能性が高まりますので、早めに医師の方に診てもらうようにしましょう。

肥厚性瘢痕自体は自然治癒ができますが、よく似た症状のケロイドが自然治癒しないので、できる限り医師の方に診てもらって適切な処置をしておきましょう。

まとめ

  • 自然治癒はするが人によっては年単位かかることもあり、またケロイドの可能性がある事も考えれば肥厚性瘢痕を自然治癒に任せるというのはお勧めできない。
  • 傷跡が隆起している、赤くなっている、この2点が肥厚性瘢痕の特徴。
  • 基本的には外側からの圧迫固定方法、圧迫療法が主流。