タトゥー除去治療には、切除や植皮、削皮、レーザーと方法はさまざまにあります。
今回は、そのなかのレーザー治療のひとつ、ピコレーザ―についてお話ししたいと思います。
目次
ピコレーザーによるタトゥー(刺青)除去とは?
タトゥー除去に使用されるレーザー治療には、Qスイッチヤグレーザー、Qスイッチルビーレーザー、CO2レーザーなどがあり、これらのレーザー治療は黒や紺などの濃い色に反応を示すという特徴を持っています。
そこで、最新のレーザー治療器、ピコレーザーの出番です。ピコレーザーの特徴は、従来のレーザー治療では対応することができなかった色にも反応するため、多色使いのタトゥー除去にも対応することができます。
そして、従来のレーザー治療とピコレーザーの最大の違いは、QスイッチヤグレーザーやQスイッチルビーレーザーがナノ秒の速度で照射を行うのに対し、ピコレーザーの場合ではピコ秒という速度で照射を行うという点にあります。
ピコ秒と聞いても、すぐにピンとくる方は少ないのではないかと思いますが、ピコ秒とは1,000億分の1秒を指しますので、とてつもないスピードであることがわかりますね。
ナノ秒は10億分の1秒ですので、ピコ秒が以下や早いのかご理解頂けるのではないかと思います。
つまり、多色使いにも対応し、最短期間でタトゥー除去治療を行うことができるのが、ピコレーザー治療であるということです。
従来のレーザー治療とどこが違うの?
従来のレーザー治療とピコレーザー治療の違いは、多色使いに対応しているのか否かという部分、そして、処理スピードの違いという部分にあります。
ナノ秒で稼働するQスイッチヤグレーザーやQスイッチルビーレーザーの処理スピードもかなり早いと考えることができますが、ピコレーザーはさらにその上を行く早さであるため、できる限り短期間で治療を終えてしまいたいという方には、特におすすめしたい治療法です。
また、従来のレーザー治療では、黒色などの濃い色に反応し、色素が深い部分に入り込んでいなければ、かなりの確率で薄くすることが可能です。ですが、ピコレーザー治療を行った場合では、従来よりもムラがなく綺麗にタトゥーを薄くすることができるという特徴を持っています。
このように高性能なピコレーザーではありますが、唯一の難点としては、従来のレーザー治療と比較した場合では治療費が高額な設定となっていることか多いという点でしょうか。
ピコレーザーは、アメリカをはじめとする諸外国ではすでに一般的とされていますが、日本ではピコレーザー治療器そのものを取り扱う医療機関が少なく、また導入費用が高額であるといことから、必然的に治療費用が高額となっていると考えられます。
どうして短期間で綺麗にタトゥーがとれるの?
ピコレーザーの処理スピードがいかに早いかご理解頂いたところで、従来のレーザー治療よりもピコレーザー治療のほうが仕上がりが綺麗であるという理由について、ご説明させて頂くことにします。
まず、従来のレーザーの場合では、照射時に大きな粒子の色素のみを破壊し、一定の大きさ以下には破壊することができないという特徴を持っています。
つまり、破壊しきれなかった大きさの色素が残る可能性が高いということです。
それに比べてピコレーザーは、従来レーザーでは破壊しきれなかった大きさの粒子までハイスピードで破壊するため、色素が残りにくいという特徴を持っています。
さらに、従来のレーザーの場合ではかさぶたとなって剥がれた跡が色素沈着という形で残ってしまうことがありますが、ピコレーザーは従来のレーザーよりも照射スピードが速く、皮膚へのダメージも少ないと考えられていますので、色素沈着が起こる確率も低いと考えることができます。
そして、ピコレーザーは実際に治療を受ける方にとっては嬉しいメリットがあります。それは、従来のレーザー治療よりも痛みが少ないということ。この痛みの部分でレーザー治療をリタイアしてしまう方もいるという話ですので、特に痛みに弱い方にも、ピコレーザーはおすすめでしょう。
2種類のパルス幅で粒子を破壊?
ではなぜ、ピコレーザーは細かい粒子まで破壊することができるのでしょうか?
現在日本で使用されているピコレーザーは「エンライトン」という種類で、2種類のパルス幅を持っているという点が大きな特徴となっています。
それではここで、パルス幅とはなにか、少しだけ説明を加えておくことにします。
レーザーは、波長とパルス幅という2種類の要素で構成されており、波長が光の長さを示すのに対し、パルス幅はレーザーを照射している時間を示すという違いがあります。そして、パルス幅の示す単位が小さいほど、タトゥーの色素に対する破壊力が大きいと考えられています。
では、エンライトンが持つ2種類のパルス幅とは、なにを意味しているのでしょうか?
エンライトンは、2ナノ秒と750ピコ秒という2種類のパルス幅を持ち、はじめに2ナノ秒のパルス幅で大まかに色素を破壊し、さらに750ピコ秒というパルス幅で色素を破壊するため、従来のレーザー治療よりもはるかに速いスピードで色素を綺麗に破壊することができます。
たとえば、従来のレーザー治療の場合では1種類のナノ秒のパルス幅で色素を破壊するため、どうしても破壊することのできる色素の大きさに限界が生じるという弱点を持っています。そして、この弱点の部分をカバーしているのが、ピコレーザー治療器のエンライトンであるということです。
エンライトンなら痛みが少ない?
レーザー治療のデメリットは、まず治療費が高額であるというデメリットを持っています。
そして、さらに大きなデメリットとして挙げられるのが、治療中の痛みです。
たとえば、医療脱毛の場合でも、レーザーが体毛の黒色に反応しますので、チクッとした痛みを感じます。そしてタトゥー除去の場合では、脱毛よりも高い出力でタトゥー部分にヤケドを起こさせますので、さらに強い痛みが発生します。
また、従来のレーザーの場合では、タトゥーの周辺組織にまでダメージを与えてしまうため、なおさら痛みが強まりますが、エンライトンはピコ秒で照射を行いますので、タトゥーの周辺組織へのダメージを最小限に抑えることができ、その分の痛みが軽減できるというわけです。
ただし、エンライトンであっても確実に痛みは発生しますので、エンライトンであっても、痛みを感じることなくタトゥー除去を行うことはできないということだけは、しっかりと頭に入れておく必要があります。
こんな人におすすめ!
多色使いで、従来のレーザー治療では対応することのできないタトゥーが入っている方におすすめです。
また、エンライトンは処理スピードが従来のレーザー治療器が早いので、できる限り早く治療を終えてしまいたいという方にもおすすめです。
そして、痛みの問題。従来のレーザーでタトゥー除去を行った場合、思っていた以上の痛みを感じる方が多いといいます。そして、従来のレーザー治療を受けた方の中には、レーザーの痛みに耐えきれず、治療を途中でやめてしまったり、別の方法での治療に切り替えたりする方もいるのだそうです。
ですが、エンライトンであれば従来のレーザー治療器よりも感じる痛みが少ないという特徴を持っていますので、従来のレーザー治療でリタイアしてしまった方にも、エンライトンはおすすめできるレーザー治療器であるといえるでしょう。