傷ができたときに注意したいのが色素沈着です。なぜ、傷跡で起こりやすいのでしょうか。
その原因と色素沈着を消す薬、色素沈着に有効な治療法を解説します。
このページを見れば、正しい色素沈着の対処法が分かるはずです。傷跡を綺麗に治したい方は確認しておきましょう。
傷跡の色素沈着はなぜ起こる?
そもそもなぜ傷跡に色素沈着が起こるのでしょうか?
特に女性の悩みとして多いお肌のニキビ、他にも虫刺され、かぶれ、湿疹、やけどといった炎症が起きると、体は自分の肌を守ろうとして表皮に存在するメラノサイトと呼ばれる色素細胞で「メラニン色素」を分泌します。
このメラニン色素が傷跡に残ってしまったものが「色素沈着」となるのです。
色素沈着の元となるメラニン色素ですが多くの人は「メラニン=シミ」という考え方を持っていて、メラニン色素を悪者のようにとられています。
しかし本来メラニン色素は、肌の細胞を紫外線の刺激から守ってくれる存在であるため、体の機能としては悪者ではありません。
また傷跡に沈着してしまったメラニン色素も、多くの場合は肌がターンオーバーを繰り返してメラニン色素を皮膚の外側に押し出してくれるので少しずつ消えていくケースがほとんどです。
とはいっても、これを読んでいる人の中には傷跡に色素が沈着したまま数年経過しているという人もいるはずです。
なぜこういったことが起こるのかという、原因のひとつに紫外線が考えられます。
実は傷跡の炎症部分の色素沈着は、紫外線を浴びることでさらに色素沈着が強くなってしまい、消えにくくなってしまうことがあるのです。
大抵の人が傷ができるとすぐになんらかの処置をして、傷がひどくならないようにケアをしますが、傷が治って傷跡になるとそれ以降はケアをしなくなることが多いです。
そのため治った傷跡に紫外線が当たってしまい、色素沈着が強くなって消えづらくなってしまうのです。
傷ができたらまずはしっかりと傷を治し、傷が治った後も紫外線を浴びないようにケアをすることが色素沈着を起こさないためのポイントなのです。
傷跡の色素沈着を消す薬はあるの?
色素沈着を起こさないための最も大切なポイントは傷跡に紫外線を当てないことですが、次はすでに傷跡に発生してしまっている色素沈着を消す薬を紹介します。
色素沈着といっても人によって沈着の度合いは様々であり、やはり沈着の度合いが強ければ強いほど薬の効果も実感しづらくなります。
しかしこれから紹介する薬には色素沈着を改善する効果がしっかりと認められているため、色素沈着で悩んでいるのであれば試してみる価値はあります。
ハイドロキノン
ハイドロキノンとは、コーヒー、いちごや麦芽といったものに含まれている天然成分のことであり、ハイドロキノンを使った薬を「ハイドロキノンクリーム」といった名前で呼んでいます。
ハイドロキノンには次のような効果があります。
- 酵素チロジナーゼの働きを阻害してメラニンの生成を抑える
- メラノサイト(色素細胞)に働きかけメラニンを減少させる
- 還元作用で紫外線によって酸化されて黒くなってしまったメラニンの色を薄くする
1と2の効果はおもにこれから発生するメラニン色素を予防するためのものですが、3の効果はすでに色素沈着してシミとなったメラニンを薄くするものです。
副作用としては、肌に塗るものなので人によっては炎症や赤みを起こす場合があります。
また長期間同じ部分に使用すると、その部分のメラニン色素を作る働きが失われ、部分的に色が抜けてしまうことも稀にあります。
ハイドロキノンを手に入れるためには「市販されているハイドロキノンが配合されている化粧品を購入する」「病院でハイドロキノンクリームを処方してもらう」という2つの方法があります。
後者の病院で処方してもらう方法については、次の項目で説明します。
市販されているハイドロキノンが配合されている化粧品は、商品名に「ハイドロキノン」や「HQ」と記載されています。
また成分にハイドロキノンが配合されているかも確認するといいでしょう。
薬局やデパートなどの化粧品売り場で売られていますが、あまり商品の数は多くないかもしれません。
値段もハイドロキノンの配合率によって変わるのでは一概には言えませんが、10~20gで5,000円~10,000円するものが多いです。
アットノン
アットノンは小林製薬株式会社から販売されている商品です。
有効成分である「ヘパリン類似物質」が含まれており、「水分保持作用」「抗炎症作用」「血行促進作用」の3つの働きで傷跡の色素沈着を改善します。
塗ってすぐに効果が出るような薬ではないため、新陳代謝の周期にあわせて1ヶ月以上継続して使う必要がありますが、できてから1~2年経った傷跡の色素沈着にも効果があります。
希望小売価格が1,404円(税込)となっており、内容量も15gなので市販のハイドロキノンを配合した化粧品と比べるとかなりお得で使いやすい商品になります。
皮膚科で傷跡の色素沈着を治療することは可能?
先ほども紹介しましたが、病院で色素沈着を消すための薬である「ハイドロキノンクリーム」を処方してもらえます。
このハイドロキノンクリームを使って色素沈着を治療する場合は、皮膚科で診察を受けて薬をもらい、毎日薬を塗るだけですみます。
そのためこの方法が皮膚科で色素沈着を治療する最も手軽な方法になります。
皮膚科で処方されるハイドロキノンクリームの値段は、ハイドロキノンの濃度にもよって変わってきますが、5gで2,000円程度と考えるといいでしょう。
ただし皮膚科を受診する場合は薬代の他に診察料もかかることを忘れないようにしましょう。
また色素沈着の治療は保険の適用外になる場合が多いです。
そのため皮膚科を受診する場合は、事前に受診する病院に問い合わせた方が確実です。
傷跡の色素沈着はレーザーがいい?
傷跡の色素沈着を消すための治療はハイドロキノンを塗る方法だけでなく、美容皮膚科などで行えるレーザー治療もあります。
ひとことでレーザー治療といっても、種類はいくつかあります。
- Vビームレーザー
- Qスイッチルビーレーザー
- メドライトC6
この他にもレーザー治療の種類はいくつかありますが、レーザー治療のメリットは効果の高さ、治療の短さにあります。
どうしても処方された薬を塗るだけでは、色素沈着が消えるまで時間がかかってしまいます。
しかし、レーザー治療の場合は直接患部に作用するため効果があらわれやすく、複数回レーザーを照射する必要はありますが、一回のレーザー照射は短時間で済みます。
ただし実際にレーザー治療を行なった人の中には、「シミが濃くなった」「赤みがひかなくなった」「肌が一部分だけ白くなった」といった副作用が現れた人もいます。
さらに治療後はレーザー照射によってかさぶたができることもあり、紫外線やメイクは避けなければいけません。
またレーザー治療も保険適用外となるため、費用が高額になることもあります。
レーザー治療はハイドロキノンを使った治療と比べると一般的には効果が高く、治療期間も短くすみます。
しかし人によっては副作用などの心配もあるため、必ず医師としっかりと相談して納得した上でレーザー治療を受けるようにするべきです。
無料カウンセリングを実施しているクリニックもありますので、ご興味のある方は一度相談してみてはいかがでしょうか。
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まとめ
- メラニン色素が傷跡に残ってしまったものが「色素沈着」
- ハイドロキノンを手に入れるためには「市販されているハイドロキノンが配合されている化粧品を購入する」「病院でハイドロキノンクリームを処方してもらう」という2つの方法がある。
- アットノンは市販のハイドロキノンを配合した化粧品と比べるとかなりお得で使いやすい商品。
- 色素沈着の治療は保険の適用外になる場合が多い。
- レーザー治療のメリットは効果の高さ、治療の短さにある。