意図的にケロイドを作り身体に模様を描くスカリフィケーション。
タトゥーと同じく注目を集めつつあります。お洒落に思えるかもしれませんが、様々なリスクがある点には注意が必要です。
スカリフィケーションの概要、リスク、タトゥーとの違いなどを解説するので、興味をお持ちの方は参考にしてください。
スカリフィケーションって何?
スカリフィケーションは、刃物を使って皮膚に傷をつけることで身体に模様を施す行為です。
タトゥーを入れるときは模様を施すために墨などの色素を皮膚に入れていましたが、スカリフィケーションでは傷が治る過程で発生するケロイドを利用します。
ケロイドとは?
人の体は比較的症状の軽いすり傷や切り傷、やけどといった傷やケガであれば、自然と傷口が治っていき傷跡も目立たなくなっていきます。
しかし傷口が直っていく過程で、アレルギー反応や皮膚が引っ張られることによって、傷跡がミミズ腫れを起こしたように赤く盛り上がることがあり、これをケロイドと呼びます。
症状が軽い場合の傷跡は数年が経過することでほとんど目立たない傷跡になるのですが、ケロイドは自然には治りづらいという特徴があります。
このケロイドの特徴を利用して、あえて消えづらい模様を体に施すのがスカリフィケーションなのです。
スカリフィケーションの種類は?
体に傷跡(ケロイド)を残して模様を施すスカリフィケーションですが、その手法も数種類存在します。
カッティング
メスや刃物を使って皮膚の表面を切り、模様を作っていくのがカッティングという方法です。
細い刃物で傷を作るためシャープな模様を作る事ができたり、刃を入れる角度で様々な表現をすることができます。
スキンリムーバル(ピーリング)
メスや刃物を使って皮膚を剥がすことで模様を作っていくのがスキンリムーバル(ピーリング)という方法です。
カッティングは細い線を使って模様を作っていきますが、スキンリムーバルは線ではなく面として模様を作る事ができます。
タトゥーガンスカリフィケーション(ニードルスカリフィケーション)
タトゥーを彫るときに使うマシンのセッティングを変更して、針状の器具で傷跡をつけていくのがタトゥーガンスカリフィケーション(ニードルスカリフィケーション)という方法です。
タトゥーを彫るときに使うマシンを利用するケースが多いですが、タトゥーとは違いインクを使うことはなく、あくまで傷跡を利用して模様を描いていきます。
メスや刃物を使うよりも治療期間が早く、傷跡も残りやすいという特徴があります。
ブランディング(焼印)
金属を熱して、これを皮膚に押し当てて火傷を起こすことで模様を施す方法がブランディングという方法です。
押し当て具合を調整することで線だけではなく、面の模様も施すことができます。
また火傷を起こすことで周辺も軽症の火傷を起こすため、メスや刃物を利用した場合とは違った雰囲気の模様を作ることができます。
インクラビング
カッティングなどで作った傷にインクを刷り込んで、色味のある模様を作るのがインクラビングという方法です。
スカリフィケーションは基本的に傷跡を利用するため、自分の好きな色を模様に取り入れるのは難しいですが、インクラビングをすれば自分好みのデザインと色味で模様が作れます。
しかし、年数が経過することで色味が薄れていくというデメリットもあります。
アフターケアが重要
スカリフィケーションは、施術自体はもちろんなのですがアフターケアも非常に重要になってきます。
なぜならメスや刃物で傷をつけたままだと、ケロイドが作られずに傷口が治ってしまうことがあるからです。
ケロイドが作られない、傷口がきれいに治るのは普通であればありがたいことですが、スカリフィケーションにとっては死活問題です。
そのためスカリフィケーションをする場合には、なるべくケロイドがきれいに発生するようにアフターケアにも力を入れる必要がでてくるのです。
ただしこのアフターケアの方法も全てが確立されているわけではありません。
日本の中ではスカリフィケーションはまだまだ認知度が低いため、その分情報も少なく、日々正しい情報が変化している状態なのです。
日本でもできるの?
スカリフィケーションはアフリカの部族の間では昔から当たり前のように行われてきた風習ですが、日本ではまだ新しく、認知度も低い手法になります。
実際に国内でスカリフィケーションを施せるお店はかなり少なく、インターネットで簡単に検索ができるお店は数件しかありません。
そのため日本でスカリフィケーションを入れようとした場合、まずはお店探しからはじめていかなければなりません。
費用としては1時間の施術で1万~1万5千円ほどかかることが多いようですが、施術時間もデザインや大きさによって変わるため、事前にお店でしっかりと確認する費用があります。
麻酔は使えない
スカリフィケーションの手法を紹介しましたが、どの方法もメスや刃物などを使って皮膚に大きな傷を作ります。
そのため施術をする場合は、非常に強い痛みを伴うことになります。
痛みを軽くするために麻酔の利用を考えることができますが、そもそも日本では医師免許がなければ、麻酔を使用することはできません。
そうなってくるとやはりスカリフィケーションをする場合は、麻酔なしの状態で行うのが当たり前になってきます。
ハイリスク
スカリフィケーションを行なう上で覚えておきたいのは必ずリスクがつきまとうという点です。
スカリフィケーションはあえて傷口を作っていくわけですから、その過程で必ず出血がおこります。
出血がおこるということは、血液感染が起こる可能性があるということです。
スカリフィケーションのように体に模様を描く方法としてタトゥーがありますが、実はタトゥーでも血液感染を起こす危険があります。
タトゥーに使う針を多くの人の間で使いまわすことによって、肝炎やエイズといった血液を介して感染する病気になってしまうことがあるのです。
スカリフィケーションの場合も同様に施術で使うメスや刃物などを使いまわしてしまえば、血液感染を起こしてしまいます。
もちろんこういった衛生面の問題は本来であればお店側が徹底的に管理するべき部分ですが、スカリフィケーションはまだまだ日本では浸透していない手法でもあり、こういった部分の安全が完全に確保されているかというと疑問が残ります。
またこういった病気のリスクもそうですが、スカリフィケーションを入れることで発生する生活していく中でのリスクも考えなければいけません。
スカリフィケーションとタトゥーは別物です。
しかし傍から見るとどうしてもスカリフィケーションとタトゥーは同じもののようにみえてしまうため、タトゥーを入れた人と同じようなリスクを背負わざるを得ないのが現実です。
具体的には、プールやジムといった公共施設への入場制限、生命保険への加入が難しくなる、就職の幅が狭くなる、相手の親に結婚を反対される、などなど…。
スカリフィケーションを入れる場合は、こういったリスクの発生を覚悟しなければいけません。
スカリフィケーションはタトゥーとは違った方法として、一部の若者の中で支持を受けています。
しかし実際には日本ではまだ認知度が低く、様々なリスクがある方法でもあります。
まとめ
- スカリフィケーションは、刃物を使って皮膚に傷をつけることで身体に模様を施す行為。
- 実際に国内でスカリフィケーションを施せるお店はかなり少なく、インターネットで簡単に検索ができるお店は数件しかない。
- スカリフィケーションとタトゥーは別物。