ワセリンが傷跡を消すのに有効といわれていることをご存知ですか。
なぜ、このように言われるのでしょうか。その理由とワセリンを活用した傷のケア方法を紹介します。
このページを見ればワセリンの働きと正しい活用方法がわかるはずです。気になる傷に試してみてはいかがでしょうか。
ワセリンとは
ワセリンは特に数ある塗り薬のなかでもポピュラーなものです。
日常的なスキンケアアイテムとして使われるだけではなくて、医療現場でも頻繁に用いられています。
ワセリンは通常の塗り薬と違って、長期間の保存が可能です。ですので、家に1つ常備しておくと使い勝手がいいです。
成分・用途
ワセリンの成分は原油に含まれているペトロラタムゼリーというものです。
これを高いレベルで精製したのが、ワセリンです。
特に純度が高い白色ワセリン
特に白色ワセリンというのは、不純物が極めて少なく、香料や酸化防止剤といった通常の保湿剤に含まれているような添加物もカットされています。
非常に高い安全性があるということで、医療現場でも広く用いられています。
他の物質と混ぜてもよけいな反応を示さないために、新しい薬の基材として用いられることも多いのが、この白色ワセリンです。
白色ワセリンのいいところは、医療現場でも使われている物ですが、普通のドラッグストアで入手できるということです。
第3類医薬品に分類されており、処方箋がなくてもこのように上質な物を入手できるというメリットは大きいです。
純度が下がる黄色ワセリン
ドラッグストアでは、黄色ワセリンも販売されています。
これは海外製のもので、よく見かけるワセリンはこちらの方であることが多いでしょう。
黄色ワセリンは白色ワセリンに比べれば純度が落ちます。しかし、普通のクリームの保湿剤のような物に比べれば、はるかにクリアなものです。ですので、こちらの黄色ワセリンでも、その純度で危険視されるようなことはありません。
ワセリンは白色も黄色もとても純度が高く、成分的には安心して使用することができます。
ワセリンの用途
スキンケア
かゆみやかさつきを感じる部分に塗るようにすると効果があります。特に乾燥している部位は外部からの刺激を受けやすくなっています。こういった刺激からワセリンを塗ることによって薄い膜ができるため、皮膚を保護することができます。
ただし、ワセリンそれ自体は油なので水分を補うことはできません。
ですので、化粧水などのローションを使って水分を与えたうえで、蓋をするようにワセリンを塗るという使い方がおすすめです。
特にワセリンのいいところは、刺激のある成分が含まれていないので、皮膚の薄い目の周りにも使うことができるということです。
目の周りはNGとされているスキンケア用品は多いですが、ワセリンであれば問題なく使用していくことができます。
花粉対策
ワセリンを鼻の穴の周りに塗っておくことによって、花粉をある程度キャッチすることができます。
花粉症の程度がおさまったという声も多いです。
髪の乾燥
髪が乾燥してパサつくという人にも、ワセリンの保湿効果が期待できます。
ただし、あまり多く取りすぎるとベタベタになってしまいます。
ですので、なるべく薄く取って髪に馴染ませるように使用するのがおすすめです。
レザーのひび割れ予防
ワセリンの原料は油です。
ですので、レザーのバッグや靴に塗りこんでメンテナンスすることによって、ひび割れの防止をすることができます。
ワセリンに副作用はある?
ワセリンには基本、副作用はありません。
ただし、ワセリンの多くは容器型になっています。このような容器型の場合、スパチュラのような物を使用すればいいのですが、そのまま手で取って使ったほうが楽なので多くの人はそうするでしょう。
このとき、手に雑菌がついていると、容器の中で繁殖してしまう危険があります。
ですので、そのまま指で取るような場合には特に、清潔な手で取るということが必要です。
どんな傷に有効なの?
ワセリンは特に転んだ際に発生するようなすり傷、そして包丁などで指を切ってしまったときのような切り傷にも有効です。
特に最近では、以前のような消毒液を使って傷を消毒して、その後に乾燥させて治すというようなのはNGとされています。
湿潤療法
湿潤療法といって、傷が発生したら、まずはその傷口の汚れを水道水で流します。
消毒は消毒液を使わなくても、この水道水で洗い流すということだけで充分だとされています。
特に消毒液を使ってしまうと、細菌等と一緒に、そういった細菌を排除して傷の治りを速くする免疫細胞まで殺してしまいます。
すると結果的に傷の治りが遅くなり、またその後、乾燥させてしまうと皮膚のターンオーバーも遅れて傷跡が残りやすくなってしまいます。
傷を負うと、皮膚から分泌液が出されます。これには殺菌や保湿をする成分が含まれていますから、わざわざ消毒液を塗ったりしなくてもいいわけです。
特に傷には保湿が重要で、乾燥してしまうと先にも述べたように傷跡が残りやすくなってしまいます。
そして、こういった湿潤療法の効果をさらに高めてくれるのがワセリンです。
ワセリンは、非常に低刺激な保湿剤です。ですので、このワセリンを使用することによって、傷の部分の皮膚もしっかりと保湿されて治りが早くなり、傷跡も残りにくくなります。
湿潤療法で使いたいラップ療法
化膿の危険がなく、自宅でケアできると考えられる場合には、このモイストピーリングと呼ばれる湿潤療法が最適です。
そして、この湿潤療法の効果を高めるのがラップを使った治療法です。
この項目では、そのラップ療法の工程について紹介していきます。
- まずは水道水で傷口を洗い流す
最初に、傷口の汚れなどを綺麗に水道水で洗い流しましょう。
洗い流したら、傷口の周りをそっとタオルで押さえるようにして拭います。 - 分泌液で保湿する
そのままにしていると、勝手に傷口から保湿効果や免疫効果のある透明な分泌液が出てきます。
これが大事ですから、これはふき取ってはいけません。 - ワセリンを塗ったラップで留める
ラップには小さく無数の穴を開けておいて、そこにワセリンを塗っておきます。
そして、ワセリンを塗った方を傷口に当てるようにしてラップを載せます。
穴を開けておくのは、余分な分泌液がそこから流れ出るようにしておくためです。
そして、ラップの周りに包帯を巻きつけて留めれば完成です。
こういったラップ療法をすることによって、保湿力が高まり、怪我の治りが早くなるばかりではなくて、傷跡も残りにくくなります。 - 絆創膏はNG
湿潤療法では保湿をしたほうがいいということで、乾燥させないためにラップではなくて絆創膏を貼る人がいます。
しかし、絆創膏はNGです。
絆創膏は、特に裏面にガーゼが張られています。そしてこのガーゼが傷口の分泌液と癒着してしまって、絆創膏を剥がすときに、その分泌液と傷口の細胞もろとも引っ張ってしまいます。
そうなると、治りも遅くなりますし、傷跡も残りやすくなってしまいます。
また、絆創膏は傷口との間に隙間ができやすいという欠点もあります。
隙間ができてしまうと、乾燥しやすくなってしまって、かさぶたもできてしまいます。
こうなると、湿潤療法ともかけ離れてきてしまいますから、絆創膏を傷口には貼らないようにしましょう。
湿潤療法の注意点
衛生的ではない場所での怪我のような場合には、化膿をする恐れがあります。
特に深い傷であるような場合には、同様に化膿をする危険があります。
こういった場合には、自宅での湿潤療法はリスクがあります。
特に化膿をするような怪我の場合には、化膿を防ぐために抗生物質が大事になります。しかし、ワセリンにはこの抗生物質が含まれていません。
ですので、化膿のリスクが高いと判断されるような場合には、早めに病院へ行くようにしましょう。
病院では、そういった傷に対しては抗生物質が配合された軟膏などを処方してくれます。
特に動物に噛まれた場合には、傷口には目に見えない細菌がたくさんいるものです。このような場合には湿潤療法をしていると、感染症の恐れがあります。
こういった時にもやはり抗生物質が必要となりますから、病院へ訪問する必要があります。
まとめ
- 白色ワセリンは常に高い安全性があるということで、医療現場でも広く用いられている。
- ワセリンには基本、副作用は無い。
- 化膿のリスクが高いと判断されるような場合には、湿潤療法を用いるのではなく早めに病院へ行くようにしましょう。